AXNミステリー「主任警部モース」

Inspector Morse – trailer

AXNミステリーの名警部たち

AXNミステリーの名警部といえば「主任警部モース」を取り上げたい。
コリン・デクスター原作の推理小説を元に1987年から2000年まで全33話がITVから放送されて高い人気を集めた。

主任警部モース

ジョン・ソウが演じるモースはオックスフォード・シャー、キドリントン テムズバレイ警察本部CID(犯罪捜査課)の主任警部。

モースは思い込みや思いつきで推理し、捜査を進め、事件を解決するため、できるだけ科学的な裏付けを取りコツコツ捜査を進めたい部下のルイス部長刑事とは捜査方法で相いれないところがあるが、二人の関係はしっくりいっている。

またモースは多趣味で音楽や文学に一家言あるインテリだ。

クロスワードパズルを好み、Wagnerianを自称するワグナー好きで、自宅でも車中でもワグナーのテープを大音量で聞く。

ビターをこよなく愛し昼もビターを飲んですます!(ビター好きが健康を損なう遠因だ。)このシリーズではモースがビターを飲む以外ランチをするシーンは劇中ほとんどない。上司の特権のごとく、パブでルイスに立替をさせることもままある。ルイスはこうした飲み代の3/4はルイスが立て替えていたという。

モースは妻子なく独身。探検家クックを尊敬する。賭けごとが好きでドライバーの父親と、クエーカー教徒の母親が、クックの乗艦エンデバー号にちなみ、モースのファーストネームをエンデバーとなずけたが、モースはこの名前を好まず、ほかの人にはモースと呼ばせている。

ビター通で酒好き、女好きで美人に弱く惚れっぽい。

モースは御多分に漏れず協調性がなく、自説を曲げず捜査し、ルイスとぶつかることも度々。証拠固めを重視するルイスがぶっ切れることもある。科学的捜査を重視する上司のジム・ストレンジ警視正から警告を受けることも多いがなんとか事件を解決し事なきを得ている!(フロストと同じような問題を抱えている!)

マレットとフロストとの関係とは異なり、上司のストレンジは終始モースに好意的だ。

事件が起きると登場する監察医のマックス・デ・ブライアンは、高い見識と所見でモースの捜査活動に貢献するが、必ずしもモースの考えに合致するとは限らないし、モースに忖度しないがモースの味方だ。

モース、部下のルイス、監察医のブライアン、そして上司のストレンジと、それぞれのキャラが際立っているのが物語を面白くしている。

モースの愛車は赤のジャガー、フロアシフトでマニュアル。モースは劇中でXJはジャガーではないとまでいうくらい、このクラシックなジャガーマークIIにご執心だった。因みにモースのジャガーはシリーズ終了後オークションにかけられ、約1千万円で売却された。

モースの撮影ロケーションのガイド観光ツアーがとても人気があるそうだ。

シリーズにはオックスフォード大学の話がふんだんに出てくる。大学の組織、運営が題材として出てくるのは興味深い。学生とチューター、学寮長選挙に絡む殺人など話題は尽きない。一度ツアーに参加してみたい。

作者コリン・デクスターと役者ジョン・ソウ

このシリーズの作者のコリン・デクスターは33話中30話にカメオ出演(劇中にクレジットなしで登場)している。

モース警部のシリーズはモースの死で2000年に幕を閉じた。恐らくジョン・ソウの健康上の理由から33話で終結するようにしたのではと思う。

劇中、モースは1998年8月オックスフォード市のジョン・ラドクリフ第2病院で心筋梗塞と腎臓機能の停止で亡くなる。死に立ち会ったのは、上司のストレンジと部下のルイス。ルイスがお別れのキスをモースの額にする。モースの死後彼の預金の1/3が遺産としてルイスに残されていた。

モースを演じたジョン・ソウは2002年2月21日、食道がんで60歳で亡くなった。

コリン・デクスターはこのシリーズがもっと続くことを念頭に続編を書いていた。主任警部モースは33話で終わったが。コリン・デクスターの書いていた続編は「オックスフォードミステリー ルイス警部」として制作される。

コリン・デクスターは2017年3月に亡くなった。

ジョン・ソウには特別な思い出がある。私が1980年から81年にロンドンに勤務した時期、ジョン・ソウの「ロンドン特捜隊スウィーニー」が好きでビターを飲みながら硬派の彼の演技を楽しんだ思い出がある。

ジョン・ソウは1993年に大英帝国勲章(CBE)を授与された。


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